暴君と魔女





「四季・・・」


「ちょ、・・待って・・ください・・・・」



名前の響きに手をどけろと含みを込めて牽制すれば、控えめに振り縛る様なか細い声を響かせた四季が、そうすることで余計な動悸を逃せると思ってかきつくしっかりと目蓋を降ろす。



長い睫毛・・・。


これも好きな要素だが・・・。


そっと指先でその長い睫毛に触れるように閉じられた目元に触れていくと、ビクリと反応した四季が目を閉じたまま反応を伺う。



「・・・望・・さま?」


「・・・・目を・・閉じるな」


「・・・・・・・なら、・・その手を離してくださいませ」



触られていたら開けられないと意思表示する言葉に、それもそうかと口の端を上げてスッと離す。


顔にかかっていた熱が取り除かれれば、音のしそうな睫毛の束がゆっくり上がって覗くグレー。



「・・・・・焦らすな」


「そ、そんなつもりでは・・・」


「も・・・黙れ。・・・・お前と話しているといつまでも進まない」



不本意だと眉根を寄せ、押さえこまれている手を強引に動かそうとすれば予想外にも再びしっかり固定され。


不機嫌に舌打ちして睨みつけてみると、、



「す、すみませ・・・・ただ、最後に・・・」


「何だ?」


「とりあえず・・・蜂蜜を洗い落として床じゃない所で、・・・・・と、言うのは趣向に合いませんか?」



おずおずと確認を取ってくる四季の言葉に眉間の皺も消え、むしろ同感だと思ってしまう自分に舌打ちをする。


それをどうも変に解釈したらしい四季。



「す、すみません。こ、こういった趣向がお望みだったのなら黙ります。・・・・・・・どうぞ」



趣向って・・・・。