所詮、寂しい女から生まれる生き物も同じ性質。

ただ一人明確な肉親を失ったというのに涙一つ流さなかった俺。

肉親にさえそのような状態なのだ、赤の他人に進んで情を通わすような事もなく、どこまでも1人で過ごす方が気が楽だった。

一人でいる。

ただそれだけ。

誰に迷惑をかけるでもなくひっそり日々を過ごしているというのに、そういう人間ほど活気あふれる生き物の糧となってしまうらしい。

はみ出し者と言えた俺にも当然徒党を組んで自分の強さを過信した奴らが事あるごとに絡んでくる。

一度あれば二度目は必然。

三度四度と回を増せば面倒くささの限界も降り積もって、気が付けば自分に害為していた奴らを殴り蹴散らし打ちのめしていた。

それが……今の俺へと完成した。

あの日だってそうなのだ。

自分も頬の切り傷から血を滴らせ、左手には相手の胸座を掴み、じりじりと痛む右手はすでに数度掴んでいる相手の顔を殴った最中。

いい加減やめなければさすがに相手が死んでもおかしくない。

戦意なんて当に喪失しているらしい相手は弱々しくもがいて情けない声音を漏らしていたほどだ。

それでも尚、相手のそん状態などまるで捉えていないかのように再び拳を振りかざした瞬間だったのだ。

凛と響いた声音が場違いな一言で静止をかけたような。