なんだかんだこうしてガキまで産まれて…。
「玄斗……きて」
腕の中で眠ったらしい玄を横に寝かせると、今度は自分の番だとばかりに手を広げて甘えを見せる姿に苦笑いで身を寄せる。
抱きしめて、そのまま布団に倒れ込めばさっきまで寝ていたハルの温もりと匂いがふわりと巻き上がって安堵に満ちる。
腕の中のハルもしっかりの俺に腕を巻きつけ懐く様に胸にすり寄って、
「……今日も好きよ、玄斗」
「お前なんて嫌いだよ、嘘つき女」
「フフッ、そうね。ちゃっかりと玄斗の子供まで産んで独占しちゃって」
「………ハル、」
「……玄斗に名前呼んでもらうの好きよ。ずっとずっと…玄斗が『ハル』って呼ぶ声が聞きたくて子供にもハルって付けちゃったじゃない」
「おかげで……紛らわしい」
「私は嬉しいよ」
知ってるよ。
クスクスっと笑うその顔は本当に満足している時の顔だ。
さすがに同じように見える笑顔のちょっとした違いくらい読み取れるようになっている。
今日も……ハルは綺麗だ。
温くて、いい匂いで、
「………運命だったのかな、」
「………」
「私と玄斗……運命だったから……私はまだこうしてるのかな?」
「……なんだそれ」
「童話ではね、運命の相手の真実の愛で呪いはとけるんだよ」
「……そんなメルヘン展開あるわけねえだろ」
「確かに、フフッ、玄斗は王子様って感じじゃなくて野獣だもんね」
そういうお前だってお姫様って柄じゃねえだろ。
そんな切り返しが頭に浮かぶも、欠伸を零したハルの姿に音にはせず内側に収めた。



