俺よりも年下の癖に。
ガキの癖に。
俺より大人ぶって諭して懐かせようとしてんじゃねえよ。
そう思うのに……触れている肌の熱が心地よすぎて、匂いが甘くて、今は安定したリズムを刻む鼓動がこちらの安定も引き出して来て。
懐きたく……なるな。
本当に……強さとか痛みとか馬鹿馬鹿しくなる。
これでいいじゃないかと腑抜けた様に柔らかな時間に浸りたくなる。
ハルが俺の全てを見て受け止め認めてくれるなら……
「…ハル、」
「玄斗っ、」
「……」
続けようとした言葉を遮るように響かされた自分の名前。
どういう意図なのかとその顔を覗き込めばいつもと変わらぬ感じに悪戯っぽく笑うハルの顔がある。
生意気で…でも綺麗な笑顔。
ハルは綺れ…
「運命の相手じゃないんだよ」
「………」
「言ったでしょ?私は玄斗の運命の相手な筈じゃないの」
「……意味わかんねえ」
そもそも運命論なんて端から信じちゃいない。
あんなのは恋愛に酔いしれた感覚の戯言くらいにしか感じてなかった。
それでも、今この瞬間は運命なんて言葉に意識し集中してしまう。
せざるを得ない様な。
「……私の事なんて好きにならなくていいんだよ」
「ハル、」
「鬱陶しいって邪険でいいの」
「ハルッ、」
「フフッ、難しい?じゃあ……」
何でだろうな。
初めてその無邪気な笑顔と弾かれる声が恐いと感じる。
遮るように名を呼ぶのにそれすらも素通りでハルには届いていなくて。



