運命じゃない恋





『違う』と言った嘘になる。

だって俺の中で死と弱者はどうしても強いつながりの印象があって。

その元を辿ってしまえば自分の母親の姿がぼんやりと浮かぶ。

いつだって寂しさを纏って、俺に縋るくせに俺をまともに見ちゃいなかった。

挙句の果てに孤独だと言い続けて勝手に死んで。

「っ……」

そんな母の姿に自分の姿がどうしても類似して、自分もいつかああなるのだろうと確信に近い予感を覚えて気が付けばこんな自分が出来上がっていた。

死にたくない。

そんな抗い。

「かっこ悪……」

フッと漏らした自分への嘲笑と一言。

暴いてしまえば纏っていたと思っていた強さの薄っぺらい事。

裸の王様の様なただの虚栄。

それを鬱陶しいと思ってた女にあっさりと見破られて……絆されて。

「………本当……他にも方法はあったんだろうな、」

「そうね、例えば公園で野良猫に餌をあげたり撫でたり?」

「チッ………それか」

「フフッ、それよ。……だから…私が玄斗を好きになったんだもの」

「………あったけえじゃん……ああいうの。裏表ある人間より素直で俺の見た目に先入観とかなく懐いてくれるし」

「寂しがりやだね、玄斗」

「……黙れ」

してやったりにクスクスと笑ってんじゃねぇよ。