運命じゃない恋





確かに……きっとそういう事なんだ。

分かりやすく自分を認識する方法。

認識されて認識して、痛みや感触で更に存在を確かなものにして。

だからこそ……相手が動かなくなったあの瞬間に急激に冷めて虚しくなる。

そしてまた刹那の恍惚を求めて同じことを繰り返すのか。

「…力は分かりやすいだろ」

「……」

「弱いか強いかはっきりするし、弱けりゃ消えて、残れば強い。馬鹿馬鹿しいけどそんな事で成り立ってんのがリアルじゃねえか」

自分でも馬鹿馬鹿しいと分かっている。

そんな事で弱い強いを図る世の中も、それを馬鹿にしながらも便乗して自分を認識する自分も。

馬鹿馬鹿しけれど……それしか手っ取り早い方法がなかった。

とにかく早く……自分を認識する方法が欲しくて…、

「……寂しがりなんだね、玄斗」

「………はっ?なんでそうな…」

「寂しがりだよ玄斗は。自分を確かに認識して肯定してくれる人が欲しかっただけなんでしょ?」

「………」

「他の術を探す余裕もない程焦ってたんだね。こんな自分も相手も傷つくようなやり方以外にも方法はいくらでもあったのに。痛みでなくても良かったのに…………死にたくなかったんだね」

「っ……」

「………だって、手段を選べない程……寂しくて、孤独で……死にたかったんでしょ?」

「なっ……死にたいわけねえだろ!?死にたいとかそんな弱い事…」

「そう、だから、死にたくない方の玄斗が焦って自分を生かそうとしてたんだろうね。死ぬのは弱い。そう……玄斗の中で死が固定されているから」

そうでしょ?

そんな風に見透かすような眼差しに気圧され言葉が上手く口から発せられない。