「っ…も…と……痛くしていいよ」
「……」
「玄斗を偽らず見せてくれるならそれでいい」
「………ぶっ壊すかもしれねえぞ」
「……じゃあ、一つだけ。
……縋りつかせて?」
アホか…。
ぶっ壊すかもって脅してる奴に煽りをかけんじゃねえよ。
相変わらず弾かれる響きは想定外。
結果振り回されてしまう自分に苛立って舌打ちを響かせる癖に、ハルの細腕を掴むと自分の首に巻きつかせて身を寄せ縋りつかせる。
温い…気持ちいい…ハルの…匂いだ…。
あとは……欲求による衝動のままに…。
「なあ、何であの時笑ったんだ?」
「あの時?」
ようやく自分の体が理性の言う事を聞いた時には体力の限界で、俺もハルも酷い有様。
汗に塗れ、髪は乱れ、見下ろすハルなんかは白い肌に無造作に長い髪が張り付く。
意図的ではない感情の痕跡の様に塗り広げられている赤は俺の傷からの血の色で、全ての調和によって出来上がっているハルの姿にあっさりと再び欲情しそうなほど。
余力がなくてよかったと内心で思いながらぐったりとしていたハルを助け起こし、抱き寄せながら壁に寄りかかり座った。
気の効いた言葉をかけるでもない、それでも疲労に満ちている体を抱き寄せ、張り付いていた髪を一本二本を指先で剥がしていた時間。



