運命じゃない恋





気がつけば引っ付いていたハルを引き剥がし、噛みつく様に口付けながら薄暗い廊下に組み敷き覆い被さっていた。

古びた建造物の板間は歩くとギシギシ軋んでいつも煩い。

今もちょっとした動きでキシキシと小さく鳴いて見せて、そんな効果音すら自分の欲を高めにくる。

「っ…は、…くろ…んん…」

この行為に不慣れだという事は最初のキスですぐに気がつく。

息継ぎもままならねば、重なりを変える度にビクリと震えて身をよじって。

舌を絡め呼吸さえ貪れば大きな目からは簡単に涙を流す。

何もかもが初めての経験。

それを物語る反応に少しでも優しく抱いてやろうかと意識だけは過ぎるのに、嗅覚を擽るハルの匂いがそんなまともな理性をぶち壊しにくる。

「っ…あっ……痛…」

「………生きてるって感じて気持ちいいだろうが、」

優しさも気遣いも皆無に近い。

柔らかなベッドとは程遠い板間で半ば強引に処女を散らす様はまさに強姦。

苦痛に染まる表情や身体に労わるどころか更に奥へと身を重ねて、罪悪を感じるより強く快楽を覚えながら非情にも近い一言を落とした。

最低だな…。

自分でもそう感じるのだから、それを与えられているこいつはもっと…。

「……フッ…」

何で……笑う?

「いっ……たい…ね。痛くて……本当…気持ちいいよ」

嘘つけよ。

今だって些細な動きにさえ眉を寄せて、堪え切れない涙を溢れさせてる癖に。