「で?好きな人いないわけ?」
そしてなんでそんな上から目線なんだと思いつつも答えた。
「いるけど...?」
そう言うと日向は食いついてきた。
「えっ、誰々?」
もちろん、こんな時に日向だなんて言えないから隠す。
「日向には関係ないじゃーん、それに恥ずかしくて教えられないよー!」

言って、振られて。
そしたらもうこんな風に一緒に帰ることなんて出来ないと思うから。
私はこれでいいの、今のままでいいの。
だって一緒に住んでるんだよ?付き合ってようが付き合ってなかろうが一緒にいれるならそれでいい。今の関係を壊したくない。

「なんで教えてくれないんだよまじで」
「教える必要がないからよ」
「俺が知りたがってるんだから必要なくても教えろよ」
「やだよ、恥ずかしいもん」
「何言ってんだよ、今更。俺とお前の仲だろ」
そんな言い合いをしてるあいだ、家に着いてしまった。日向が私が入るのを待っていてくれて、私のあとに日向が続く。やっぱこういうとこ優しいんだよな、日向。別にそれが理由で好きなわけじゃないけど。
私は子の感覚が好きだった。好きな人と一緒の家に帰れること。
こんなこと、ほかの友達とか大体の女の子は体験できないと思う。から、付き合ってなくても...、付き合ってなくたって...。

それと、さっきの日向の言葉...。
「何言ってんだよ、今更。俺とお前の仲だろ」
日向と私の仲。それは、幼なじみっていうもの。彼氏彼女ではない。
それは、少し傷ついた。しょうが、ないんだけどね...