4月が始まった。

とうとう私は六年生。
小学校最後の年だ。


「千春ーー！」
私は名前を呼ばれて廊下で立ち止まる。
私の名前を呼んだのは滝本かなめ。この子はクラスで一番可愛くて、性格もいい。私が男子だったら惚れてると思う。
「待ってよー！一緒に教室行こ！」
ほんとに朝から元気だ。今はなんとも言えない気温の体育館で始業式が終わったところだ。かなめと雑談をしながら歩いていた。
「わっ！」
突然うしろから女の子がぶつかってきた。
「すみません！」
女の子が誤り、私に頭を下げた。
「大丈夫だよ」
ほんとに私は大丈夫だったから、ただただ普通のことを返した。そしたら女の子は、とても可愛い笑顔を見せた。ほんとに可愛い笑顔だった。かなめより可愛いんじゃないか？と思ったりもした。でも、初めて見る顔だった。そして女の子は少しまた頭を下げて走っていった。
私とかなめは、女の子とぶつかったことがなかった事のように教室へと向かった。
この学校は、2年ごとにクラスが変わる。だから去年と同じメンバーでクラスはうるさい。けれど、少し安心感もある。
先生が入って来た。先生はなぜか笑顔だ。私はさっき女の子とぶつかった。なんとなくだが察した。多分、転校生だろう。
「今日は、新しい友達がやってきました！」
ーガラガラー
やはり、入ってきたのはさっきぶつかった子だった。クラスは少しざわめいた。当たり前だ。こんなに可愛い子が来たのならざわめかない方が不思議だ。

「初めまして。北海道から転校してきました。藤沢希です。」

藤沢……か。まさか私の好きな人と同じ名字だとは分からなくて多分この時の私の目は丸だったと思う。転校生は、なんだか優柔不断みたいなのか、何かを探しているようにキョロキョロしていた。
そして、その捜し物を見つけたようだった。
転校生は笑顔でその人に手を振った。とても可愛らしい笑顔に。みんなはその笑顔に夢中になっていたと思う。
転校生の捜し物とは。。。
藤沢一希だった。