オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

人の気も知らないで、花美はスヤスヤと気持ちよさそうに、寝息を立てて眠っている。

「…くしゅんっ!」

ブルッ…っと、カラダを震わせ、さっきよりさらに花美が丸くなった。

このままじゃ、風邪ひくよな…

そうは思うけど、今はまだ、花美のそばに行きたくない。

乱れた衣服、そこからのぞく、薄く桜色に色づいた肌……

正直、今のオレにとって目の毒以外何物でもない。


「あぁぁ~ああっ!まったく、世話がやけんなぁっ!!クソッ!!」


バサッ!!


引っつかんだ毛布を、花美のうえに放り投げる。

あられもない姿を見ないように、その肌に直接触れないように、

花美をミノムシみたいに毛布にくるみこんでから、抱きかかえてベットに寝せる。

それなのに、


「ん、んん~~」


ミノムシから、ゆっくりと2本の白い手が生え出したかと思うと、いきなりオレに抱きついた。


「うわっ…!」

ドサッ!!


スプリングのやたら効いたマットの上では、うまく花美を支えられず、バランスを崩してベッドに倒れこむ。

ふたりで仲よく、並んでベッドの上…だ。


「あ~~……、どんな我慢大会なんだよ、コレ!」


顔を横に向けると、直ぐそばに花美の顔があった。

毛布から覗く花美の顔は、今まで見たこともない笑顔だ。


――いったい…、どんな夢をみてんだろ……


決して、表情が乏しいわけじゃない。

困ったり、泣いたり、すねたり、うっとおしいくらい、表情がコロコロ変わる。

でも…、

こいつの、こんな笑顔は思い出せない。

記憶にあるのは、いつもどこか不安げな笑顔。

他にどんな表情を隠してんだろう。

生まれて初めて、他人を知りたいと思う。


「…今度は起きてるときに、そうやって笑えよ」

「……オレ、限定で」


花美の頬に触れる。

ひっぱたかれた所は、まだ少し赤いけれど、腫れは引いたみたいだ。

そう、ホッとしたところで、


ツゥ……


うれしそうに微笑んだまま、伏せた瞳から涙がこぼれた。


「…花美?」


そのワケをオレが知るのは、

もう少し、後になってからのこと。