「…さ…ささ…くん…、だ…、誰か…」
「……」
“ピンポーン…”
聞こえるでしょ?
ほら…っ!
「…誰か…来た…よ?ね…ぇ……」
「…ああ……」
佐々くんはまるで関心がないみたい。
私を見つめたまま、その瞳が獲物を狙うオオカミみたいに、ゆらゆらと鋭く光る。
視線が絡まった糸みたいに、はずせない。
見つめあったまま、動けないでいると、
“ピンポーン…”
4度目が鳴った。
佐々くんが、ようやく起き上がる。
でも、ドアにはいかない。
佐々くんが、自分の制服のシャツを一気に脱いだ。
「…やっ……!」
ドクンッ!!
私はぎゅっと目を閉じ、顔をそむける。
一瞬、見えた佐々くんの肌。
初めて会ったときも思ったけど、すごくキレイ……で、
本当に、キレイ…なんだけど、
まともに見れない。
いったん引き戻された現実に、熱に浮かされた感覚は消えた。
恥ずかしさだけが、こみ上げてくる。
「花美」
チャイムはもう鳴らない。
お互いの息遣いしかきこえない静かな部屋。
佐々くんの声が響いて、体がビリビリしてくる。
「オレのこと好き?」
やさしい声。
でも、怖い。
怒鳴られるより、ずっと怖い。
私は、必死に首を横に振った。
スキじゃない。
スキなんかじゃないよ。
好きな人とこんなことできるわけないじゃん。
だって私、好きなヒトとはしたくない!
だから、佐々くんなんかスキじゃないよ。

