「花美……」
――……?
「…花美……」
……?…佐々…く、ん?
ぼんやりと、なんだか熱に浮かされたみたいで、頭がはっきりしない。
カラダ中の力が抜けちゃって、動けない。
佐々くんの髪が、顎のほうでふわふわ揺れてて、くすぐったい……
抱きしめられてる…
キモチいい…
人の体温って、こんなにも暖かくって、気持ちがいいんだって、初めて知った。
「…花美…」
「…?…はぁ…い…」
返事をした。
「ははっ……別に、返事して欲しくて、呼んでたんじゃねぇよ?」
――じゃあ、なんで?
って、思ったんだけど、
佐々くんは、抱きしめていた腕に力を込めて、さらに私を抱きしめた。
ぎゅぅうっ…!
「…ん、んん~、苦し…ぃ」
「はは、ごめん…」
圧迫が消える。
ゆっくり離れていく体温……
に、なんだか少しだけ不安になる。
暗い室内に、佐々くんの輪郭だけが、窓から入り込む光に縁どられてる。
わからない表情に、また不安になる。
ちゃんと、できた?
呆れてない?
私のそんな心の声が聞こえちゃったのか、佐々くんが安心させるように優しく声をかける。
「…初めてはさ、好きなオトコとしな、花美」
低い甘い声が、暗闇の部屋に溶けた。
―え…ぇ?
「えええぇぇぇ~~~~っ!!!!」
今の流れで、なんで、そうなるのぉぉ~~!!?

