佐々くんの口が薄く開き、
まるで、パズルのピースが当てはまるように、私の唇に収まる。
ゆっくり唇を割られ、佐々くんが入ってくる……
――どっ…どうしよう、どうしよう!!
目を閉じるどころか、ビックリすぎて瞬きすらできない!
「ん…ふぅう……」
…って、いうか…息!
息できないんですケド!?
キスのときって息継ぎいつすんの!?いつタイミング!?
生死の危機に、ようやく体が反応した。
でも、
「んんんっ…んんっ~~んっ!!」
動けなぁああいい!!
死んじゃう!
死んじゃうってばぁぁああ~~!!
たまらず佐々くんをにらみつけると、目があった。
なんだか楽しそうで、視線が合ったにもかかわらずひるみもしない。
やだ……
ずっと、見てたの!?
きっと私ってば、
目は血走って、眉間にはものすごい皺だよ?
顔は引きつってるし、鼻の穴も広がってるよぅ……
やだ……
もお、やだぁ…もう…見っ……
見ないでよぅぅ!!バカ!
泣きそうになる。
「ふぅ…ぅう、んん~」
…と、突然、佐々君が微笑んだ。
フッ……って、
やわらかい表情。
少し細めた、優しい目。
開放される唇……
「っは、はぁ、ふぁ~~…」
瞬間、私は大きく息を吸い込んだ。
…と、思ったら、またすぐに唇を塞がれて自由を奪われる。
さっきとは、反対のほうへ顔を傾けて……
さっきより、ずっとやさしく、
吸い付くようなキス…
さっきより、深く……
さっきより、絡めるような……
「…ふぁ…ん…」
――くすぐった…ぃ…
頭がぼぅっとする。
佐々くんの全部が、優しくて気持ちいい。
全身の力が抜けていく。
瞳はいつの間にか、閉じてた……

