オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)


剣菱の現当主が、本家を乗っ取られるような、そんな悪手を取るとは思えない。

うちの性悪ジジイが太刀打ちできない相手だぞ?

この一連の動きは、“剣菱麗華”の主導以外で、できるわけがない。


「“狩野”でわかるのはそこまで。この先は、どうにも調べようがなかった」


剣菱麗華しかできない。

狩野の存在を消し、

わざわざ限りなく遠縁の優香を引っ張り出してまで、跡取りをすげ替えた。

でも、なぜだ?


花美という直系の跡取りがいたのにもかかわらず。

なぜ、わざわざそんな、面倒なことをする?


「…4年前、剣菱で何があった?優華ちゃん」


ふと、ジジイの言葉を思い出した。


――なんぞ…知らんかったか…?


ああ、知らなかった。

だって、そうだろ。

そもそも、会ったことがなかったんだ。

ガキの頃から、連れまわされたパーティーや懇親会…

一度として、正真正銘の剣菱の姫を…

“花美”を、公式の場で見たことがない。

だから、おそらく誰もが、今でもそう思ってるはずだ。

ジジイに、教えられる前のオレのように、


「剣菱の姫は、優香だと思ってた…」


オレの呟きに、成久が確信したように、優華をたたみかける。


「なんで、身代わりなんかしてるんだよ、優香ちゃんっ…」

「……でも、縁談は花美に舞い込んだ…」


ふっ…と、

今までの厳しい表情が嘘のように、優香が笑った。

多分…

笑ったと思う。

あっという間に、深くうなだれて、今はもう顔が見えない。

そして数秒後、

再び、成久とオレを真正面に見据えた優華の表情は、妙にスッキリしたものだった。

何かを決心したような…

それでいて、大切な何かを諦めたような、そんな顔。

思わず、成久を見た。