オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)


素直にも、花美がちょこんとオレの前に正座する。

両手を膝の上に揃え、リボンを、

ギュゥ……

…と掴んでいる。

少し拗ねたような上目遣いの大きな目が、オレを見てる。

両腕に押しやられた胸が、花美の顎の下で深い谷間を作ってて……


――……こいつ…わざとやってんじゃ、ねぇだろうなぁ……


オレは苦々しく花美を見る。


「…えと…なんで、ショウか……」

「なんでじゃねえよっ!」


思わず、感情に任せて怒鳴った。

その、怒気を含んだ声に、自分で自分に怯む。

花美も二重の大きな目をさらに大きくして、表情を固めた。



「…ご…、ごめ…なさ……」


リボンを握った手が、小刻みに震え始める。


「…違う。悪りぃ、今のはオレが悪い…」


クソッ……

軽く自己嫌悪。

オレは、オンナに怒鳴ったことなんかねんだよ。

本当に、さっきから、らしくねぇ……

オレは、グシャグシャと、前髪を無造作に掻きむしりながら、花美から視線を外し、シーツのしわをにらんだ。


言いたい文句が、山のようにあったはずなのに出てこねぇ。

まあ、当たり前か。

よく考えてみりゃ、花美は、なんも悪くねぇもんな。

大体、ヤっていいって本人が言ってるんだ。

誘いを受けたのはオレだ。

さっさと抱いちまえば、それでいいんだ。



でも……

なんか…さ……


オレは、眉間にしわを寄せて目を閉じる。

なんか、イライラすんだっ。

なんか、納得いかねぇんだよっ。



「ごめんなさい…」



ふいに、紡がれたその小さな声に、部屋の空気が震えた。

オレは、前髪の絡まる指の間から、視線だけを上げて花美を見る。

花美は、申し訳なさそうに俺を見てから、


「他の人、あたってみます」


と、深々と頭を下げた。

だから……


「そおじゃねぇええだろ!!」

「……へ?何が?」

「何もかもが、違うっ!!」


ボフッ!!


「きゃあっ!」


怒りにまかせて、手加減なしで花美めがけて枕を投げ返した。

勢い後ろに花美がひっくり返る。

そのまま、上にのしかかってベッドに押し付けた。

両手を絡め取って、花美の頭上に固定する。


――しまった……


そう、瞬間思ったけど、遅かった。


細い手首。

片手で簡単に動きを封じ込める、小さなカラダ。

やわらかくて…

甘い、花美のにおい……


――理性が、吹っ飛ぶ…