「バカばかバカばか言わないでよ!わかってるもん!バカに決まってんじゃないっ!」
花美が勢いよくベッドの上で立ち上がる。
ボスッ!
もう一個あった枕をオレに投げつける。
「やめろって!」
「こんなこと、バカにでもなんなきゃ出来ないにきまってんデショ!?」
「でもねぇ、佐々くんみたく、誰とでもホイホイ、エッチできる人には、私の気持ちなんてわかんないわよぅ!!!!」
花美はポロポロ涙を流しながら、一気にまくしたてると、
はだけた制服の胸元に、かろうじて引っかかってたリボンを勢いよく引き抜く。
「しばっていいから!!」
オレの目の前に突き出した。
「縛っ…って、!?お前…なぁっ!!」
「?」
「…いや…いい、っす」
なんか……
咄嗟に想像してしまった自分に自己嫌悪。
なんだか顔、赤くないか?
オレ……
まあ、こんなけ暗けりゃわかんないだろうけど。
花美の顔をまともに見れず、思わず顔を背けた。
「はあぁぁぁ~~~ぁ…」
ダメだ、こいつ……
まるで、オトコってもんをわかっちゃぁいない。
いままで、よく処女でいられたもんだ。
――奇跡だろ……
そんなことを考えながら、チラリと窓を見ると、漆黒の夜空を透かしたガラスに、俺たちの姿が映ってた。

