こんな惨めな私を、やっぱり佐々くんは黙って見てる。
やっぱり、ベッドの端に頬杖をついたまま、動かない。
――私が怖がるから?
その時、初めて気づいた。
自分が震えてるってことに……
どれくらいの時間、そうしていたんだろう。
ふと、窓の外に目をやると、とっくに夕焼けは消え、藍色に青空を混ぜた夜の始まりの色になっている。
部屋の中も薄暗くなってて、さっきまで見えていたはずの、佐々くんの表情が読めない。
でも……
私が話すのを待ってくれている……?
そんな気がした。
「だ…だって…、いつも、そ…ぅ、なんだもん…」
「……」
佐々くんは微動だにしない。
「…だ…、だって…、みんな…がっかりだって……今日だって…それでフラれちゃって…」
「……」
「すぐ…やらせて、もらえそうだったのに…って」
「あ~…、まあ、そいつらの気持ちはわからなくもないわ」
佐々くんの、少し低めの声が部屋に響く。
心底くだらなさそうに、呟く。
「…そりゃぁ、そんなもんだろ?男なんて……」
「で…でも、私、でっ…できないっ…からっ、う…」
「だろうなぁ……」
ギシリ…
ベッドが軋む。
距離を測るように、ゆっくりと、佐々くんが私に近づいてくる。
「わ…わた…し、見た目こんな…だから…」
「だよなぁ~…誰も、処女だとは思わないわなぁ……」
ひどいっ!
なにも、そんなハッキリと、言わなくたっていいじゃん!
小学校で、「人を見た目で判断しちゃいけません!」ってならわなかったの!?
「ぅうわああああ~~んっ!!」
「はぁああああ~~……」
佐々くんの盛大なため息が、頭上から降ってきた。

