オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)


こんな惨めな私を、やっぱり佐々くんは黙って見てる。

やっぱり、ベッドの端に頬杖をついたまま、動かない。


――私が怖がるから?

その時、初めて気づいた。

自分が震えてるってことに……


どれくらいの時間、そうしていたんだろう。

ふと、窓の外に目をやると、とっくに夕焼けは消え、藍色に青空を混ぜた夜の始まりの色になっている。

部屋の中も薄暗くなってて、さっきまで見えていたはずの、佐々くんの表情が読めない。

でも……

私が話すのを待ってくれている……?

そんな気がした。


「だ…だって…、いつも、そ…ぅ、なんだもん…」

「……」


佐々くんは微動だにしない。


「…だ…、だって…、みんな…がっかりだって……今日だって…それでフラれちゃって…」

「……」

「すぐ…やらせて、もらえそうだったのに…って」

「あ~…、まあ、そいつらの気持ちはわからなくもないわ」


佐々くんの、少し低めの声が部屋に響く。

心底くだらなさそうに、呟く。


「…そりゃぁ、そんなもんだろ?男なんて……」

「で…でも、私、でっ…できないっ…からっ、う…」

「だろうなぁ……」


ギシリ…


ベッドが軋む。

距離を測るように、ゆっくりと、佐々くんが私に近づいてくる。


「わ…わた…し、見た目こんな…だから…」

「だよなぁ~…誰も、処女だとは思わないわなぁ……」


ひどいっ!

なにも、そんなハッキリと、言わなくたっていいじゃん!

小学校で、「人を見た目で判断しちゃいけません!」ってならわなかったの!?



「ぅうわああああ~~んっ!!」


「はぁああああ~~……」


佐々くんの盛大なため息が、頭上から降ってきた。