「…ご、ごめ…なさ…」
泣き止まなきゃと思えば思うほど、どうにもならない。
自分から誘っといて、こんなことになるなんて思ってもみなかった。
こんなはずじゃなかったのに……
静寂な室内に、私のすすり泣く声だけが響く。
どおしよう。
さすがに、怒ってるよね?
佐々くんに何て言おう…
おそるおそる顔を上げると、佐々くんと目があった。
「……」
「……」
佐々くんはさっきまでの体勢と全く変わらず、じぃっと、私を見たまま動かない。
その、視線を受けて、なんだか急に恥ずかしくなる。
涙とか鼻水とか、顔はもうとにかくぐちゃぐちゃだ。
髪も長いうえに猫っ毛だから、ボサボサどころか途中で絡まって大変なことになってる。
「あ、あの…ホントに、ごめ…なさ…、ずずずぅ~~~っ!!」
「鼻…、すすんないほうが、いいんじゃねえ?」
「ぁ…うん。…ごめ…ん、ずず…、そ、その…」
「パンツ見えてるぞ」
「へっ…?」
反射的に、ご指摘の部分を見ちゃった。
膝を折りベッドの上に座ってる、その、しわくちゃにめくれ上がったスカートから覗く、自分の足……
の、付け根に薄いピンクの下着……
「ぎゃあっ!!」
慌てて両手でスカートを押さえると、同時に足元からまた声がした。
「(ぎゃあってなんだよ)胸、ブラずれてるぞ」
「ひぃいいい~~っ!!」
制服のシャツは、第3ボタンぐらいまで外れてて、ブラもずれてるどころか、
ホック外れてるじゃん!
「まあ、オレがやっといて言うのもなんなんだけどさ…」
やだやだ、もお!
そゆコトは、もっと早く言ってください!
片手でスカートを押さえたまま、空いた右手で制服のブラウスを胸の前で握りしめる。
ぎゅぅぅ…っ
無意識に体中に力がこもる。
「唇、噛むなよ、血がでるぞ」
「……ぅうっ…」
また、涙が零れた。
もう、情けなくて、消えてしまいたい。

