車窓のマジックミラー越しに、流れていく夜景を見ながら心配になる。
コンパ、間に合うかなぁ……
ちょっとでも顔出さないと、剣ちゃんスマホ返してくれないよね……
それに、
『さよなら』
って、言わないで出てきたこと、佐々くん…きっと、怒ってるだろぉな…
そんなことをぼんやりと考える。
「…はぁ……疲れた…」
なんて、一日なんだろ。
いろいろありすぎて、思考が限界。
重くなった頭を支えきれない。
コツン……
窓ガラスにもたれかかると、横目に私の顔の半分が、ガラスに映ってるのが見えた。
その奥に、静かな車内がキラキラの夜景に重なるように見える。
まるでガラスの中に、別の世界が広がってるみたい。
その別世界の後部シートに、長い足を組んで座る佐々くん姿が浮かび上がる。
子どもみたいに、すねた表情。
オトコの人をカワイイって思ったの、生まれて初めてだった……
――カワイイ…
胸がギュッってなったの。
――カワイイな…
――ああ、いとしいって…
こおいうことだ……
そう、思った。
キス…してた。
私はゆっくり瞳を閉じる。
でも、ココロの奥に焼きついた、佐々くんの姿は消せなくて……
一番考えちゃいけないことに、思いがめぐる。
『好きだ……花美』
車のシートに、
ポタ…
涙が一滴落ちた。
「……んん」
無理やり声を押し殺すと、のどの奥が無性に熱くて、堪らない。
ゴクン…っと、ひとつ生唾を飲む。
――うん……
うん…
そだね……
スキ……
わたしもスキ……だよ…
佐々……くん……
嗚咽がこらえきれずに車内に響いた。
――どうしよう、石田さんに気づかれちゃう。
わざと音を立てるように、ごそごそとカバンの中からハンカチを取り出す。
とめどなく目から溢れる水滴を、何度も何度もぬぐった。
そのうち、車内に入り込むイルミネーションの明かりが華やかさを増す。
窓の外には、キレイとはいいがたい雑多な光の一群が見えてる。
――駅前だ。
ガラスに、涙に濡れた、ぐちゃぐちゃの顔が映ってる。
後れ毛が涙に濡れて、頬にべたりと張り付いてる、ガラスの中の私は、
情けないぐらい、みっともなかった。
コンパ、間に合うかなぁ……
ちょっとでも顔出さないと、剣ちゃんスマホ返してくれないよね……
それに、
『さよなら』
って、言わないで出てきたこと、佐々くん…きっと、怒ってるだろぉな…
そんなことをぼんやりと考える。
「…はぁ……疲れた…」
なんて、一日なんだろ。
いろいろありすぎて、思考が限界。
重くなった頭を支えきれない。
コツン……
窓ガラスにもたれかかると、横目に私の顔の半分が、ガラスに映ってるのが見えた。
その奥に、静かな車内がキラキラの夜景に重なるように見える。
まるでガラスの中に、別の世界が広がってるみたい。
その別世界の後部シートに、長い足を組んで座る佐々くん姿が浮かび上がる。
子どもみたいに、すねた表情。
オトコの人をカワイイって思ったの、生まれて初めてだった……
――カワイイ…
胸がギュッってなったの。
――カワイイな…
――ああ、いとしいって…
こおいうことだ……
そう、思った。
キス…してた。
私はゆっくり瞳を閉じる。
でも、ココロの奥に焼きついた、佐々くんの姿は消せなくて……
一番考えちゃいけないことに、思いがめぐる。
『好きだ……花美』
車のシートに、
ポタ…
涙が一滴落ちた。
「……んん」
無理やり声を押し殺すと、のどの奥が無性に熱くて、堪らない。
ゴクン…っと、ひとつ生唾を飲む。
――うん……
うん…
そだね……
スキ……
わたしもスキ……だよ…
佐々……くん……
嗚咽がこらえきれずに車内に響いた。
――どうしよう、石田さんに気づかれちゃう。
わざと音を立てるように、ごそごそとカバンの中からハンカチを取り出す。
とめどなく目から溢れる水滴を、何度も何度もぬぐった。
そのうち、車内に入り込むイルミネーションの明かりが華やかさを増す。
窓の外には、キレイとはいいがたい雑多な光の一群が見えてる。
――駅前だ。
ガラスに、涙に濡れた、ぐちゃぐちゃの顔が映ってる。
後れ毛が涙に濡れて、頬にべたりと張り付いてる、ガラスの中の私は、
情けないぐらい、みっともなかった。

