オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

パンッ!パンッ!


突然、手を叩く音が部屋の空気を切った。


「ほら、ほらっ!着替えさせるから、出てきなさいよっ!伊都!!」


オレの真後ろで、母さんが花美から離れろと急かす。

その声に花美の体が、ビクンッ!っと一瞬跳ねて、固まった。


「…へ?……ぇえっ!?」


スルリとオレの腕の中から抜け出すと、肩ごしに母さんの姿を見つけて、泣きそうな顔になる。


「うっ…うそ!か…私、帰りますぅ!!」


そう言うが早いか、ベッドから立ち上がろうとする。


「まだ、寝てろって…」



片手で軽く肩を押すと、花美は簡単にベッドの上にひっくり返った。


あ~あ…、正気に戻っちまったか……

ちょっと、残念。

花美は、往生際が悪いというか、それでも、まだ起き上がろうとするもんだから、

今度は母さんに抑え込まれてる。


「ダメよ!寝てなさい!」

「でも……」

「言うことを、聞きなさいぃ~っ!!」


ぼふんっ!


強制的に、上からふかふかの羽根布団をかけられて、母さんが花美に覆いかぶさる。

花美は観念したのか、

シュン……

となって、母さんがテキパキと、タオルやらお茶やら、着替え以外の準備を始めるのを、眺めてる。


ははっ…、やるじゃん母さん。

花美が目覚めて安心したのか、顔色も戻ってる。

あと、任せても大丈夫そうだな。

部屋を出て行こうと、ドアノブに手をかけたところで、


「…佐々くん……」


心細そうな花美の声に、振り返った。


「どした?」

「……」

「着替え終わったら、また来るから」

花美がホッとした様子で、小さく頷く。

そんなら様子を見て、母さんはずいぶん満足気だ。


「ほら、早く出ていきなさいってば、伊都。ああ、それと、さっきの質問の答えはもいいいからね。十分拝見させてもらったからさ」


母さんは、ドアノブを握り締めたままのオレの手を上からつかむと、そのままドアを遠慮なく開け放ち、早く出て行けとばかりに、オレに顎で指図する。


「覗くんじゃないわよ~?」


バンッ!!


豪快に閉めた。

鍵までかけやがった。

クソッ!

誰が、のぞくかっ!!