医務室に戻ると、花美はまだ眠ったままだった。
医務室と言っても自宅に在るヤツだから、ベッドと簡単な診察に必要なものが置いてある程度のもんだけど、
プライベートで父さんに診てもらいたいと来る人用で、古くから付き合いのある地元の人間も多い。
一応、循環器ではそれなりに名医とからしい。
まあつまり、そこそこの年齢だ。
たしか、母さんが高校卒業してすぐに結婚したはずだから、15歳くらい離れてたはず。
まったく、何やってんだよ……父さん。
人のコト言えねぇだろ。
いまなら絶対に捕まってんな。
音を立てないように近づき、そっとベッドサイドから覗き込むと、
スヤスヤと気持ちよさそうに花美が眠ってた。
ほっと、息をつく。
さっきより大分顔色がいい。
逆に、付き添いの母さんのほうが、よほど顔色が悪い。
「オレがついてるから、あっち行けよ」
そう言うと、今度は母さんが、”あんたの何なの?“と、父さんと全く同じコトを聞いてきた。
「関係ねぇだろ!?早く行けよっ!」
「伊都っ、ちゃんと答えてっ」
花美を起さないように気を使っているのか、声を押し殺しながら凄む。
めんどくせぇなぁ……
無視しようとしたんだけど、今日に限って、やけに母さんが引かない。
勘弁してくれ……
オレだって、相当まいってる。
「伊都!!」
くそっ!
いら立ちを含ませた母さんの声に限界を感じ、思わず怒鳴り声を上げそうになった瞬間だった。
「…ささ…くん……?」
「「!!」」
母さんとオレが、同時に声のした方へ向き直る。
ベットに横になったまま、ぼんやりと花美がこっちを見ていた。
医務室と言っても自宅に在るヤツだから、ベッドと簡単な診察に必要なものが置いてある程度のもんだけど、
プライベートで父さんに診てもらいたいと来る人用で、古くから付き合いのある地元の人間も多い。
一応、循環器ではそれなりに名医とからしい。
まあつまり、そこそこの年齢だ。
たしか、母さんが高校卒業してすぐに結婚したはずだから、15歳くらい離れてたはず。
まったく、何やってんだよ……父さん。
人のコト言えねぇだろ。
いまなら絶対に捕まってんな。
音を立てないように近づき、そっとベッドサイドから覗き込むと、
スヤスヤと気持ちよさそうに花美が眠ってた。
ほっと、息をつく。
さっきより大分顔色がいい。
逆に、付き添いの母さんのほうが、よほど顔色が悪い。
「オレがついてるから、あっち行けよ」
そう言うと、今度は母さんが、”あんたの何なの?“と、父さんと全く同じコトを聞いてきた。
「関係ねぇだろ!?早く行けよっ!」
「伊都っ、ちゃんと答えてっ」
花美を起さないように気を使っているのか、声を押し殺しながら凄む。
めんどくせぇなぁ……
無視しようとしたんだけど、今日に限って、やけに母さんが引かない。
勘弁してくれ……
オレだって、相当まいってる。
「伊都!!」
くそっ!
いら立ちを含ませた母さんの声に限界を感じ、思わず怒鳴り声を上げそうになった瞬間だった。
「…ささ…くん……?」
「「!!」」
母さんとオレが、同時に声のした方へ向き直る。
ベットに横になったまま、ぼんやりと花美がこっちを見ていた。

