オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

驚愕したのは、父さんだけじゃない。

オレも、次の言葉が浮かばなかった。

無意識に近いほど、サラリと出た言葉。

動揺してんのが、自分でわかる。

いろいろ、他の言葉をあたってみるんだけど、それ以外みつかんなくて……


彼氏でもねぇし、

友達でもねぇ。

セフレ……冗談だろ?

やってねぇっつのっ!


花美が、オレの事どう思ってんのか、気になんなくは……、ない。

でも、気づいちまったんだ。

肝心なのは、オレがどうかってことだ。


「そんな顔すんなよ」


さっきのセリフまんま、

ニヤリ……

笑って、父さんに返してやった。

なんだか、すっげぇ気分がいい。

モヤがかかって鬱陶しかった霧が、キレイに晴れた感じだ。


「彼女じゃないのか?」


父さんが、念押しするように確認する。


「あははっ…違げぇよ?だってオレの片恋だもん」

「……」


いつもポーカーフェイスの父さんが、こんな驚いた顔すんの、はじめてみた。

そう。
片思いだ。

だから、かなり切ない。


瞳を閉じると、まぶたに焼きついた愛しい姿そのままに、

花美はもう、オレのココロのド真ん中に、あつかましく居座ってる。

そこだけが、春みたいに暖かい。

オレが生まれて初めてスキになったオンナの子。


早く、オレのもんになればいいのに……