オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

父さんとの会話は誘導尋問みたいなもんだ。

これ以上話してると、言わなくてもいい事しゃべらされるに決まってる。

さっさと退散したほうがいい。


「話、終わったんだろ?オレもう戻るからな?」


倒れた花美を抱きしめた感触が腕に残ってる。

ベッドの上の花美の姿が、目に焼きついて離れない。


――死んじまうんじゃねぇの……?


そう思った。

今はマジ、キツイ……

父さんが言ったことはハズレだ。

オレがそばにいたいんじゃない。

そばにいて欲しい。


ドアに向かって歩き始めると、


「まあ、待ちなよ。最後にひとつだけ確認」


父さんが、いつもより低めの声で制止した。

はぁ……

この声のときは、ごまかしは通用しない。

真面目な話なんだよな。


「…んだよ、早くしろよ」

「…う~ん……そうだね」


オレが急いでんのをわかってて、わざとやってるとしか思えねぇ。

間がやけに長くて……

だけど、ようやく口を開いた父さんの質問は、あっけにとられるほど一言だった。


「あの子はお前の何なの?」


あまりのストレートぶりに、思わず息をのんだ。

何?

何って……


「オレの……好きな子…だけど……?」


その告白に、

父さんとオレが、同時に大きく目を見開いた。