<side 佐々>
「ま、大丈夫だろ」
それまで花美の様子を見ていた父さんは、そう一言いうと、ベッドサイドの椅子に腰を掛ける。
マジかよ。
全然、大丈夫そうじゃねぇじゃん。
ベッドに横になってる花美はピクリとも動かない。
肌は白いどころか、皮下の静脈を透かして青白い。
まあ、医者の父さんが言うんだから間違いないんだろうけど。
「…伊都」
「……」
「伊都っ!」
「…あ、ああ?なんだよ」
「月乃(つきの)さん呼んでおいで」
「…母さん?なんで」
「いいから」
いい年して、うちの両親は名前で呼び合う。
「彰都(あきと)さん」
呼びに行くまでもなく、母さんが部屋に入ってきた。
母さんも、まだ顔色が悪い。
花美が倒れこんだときの、母さんの動揺はハンパなかった。
「よく眠ってるだけだから心配ないよ。まあ、軽い貧血もあるみたいだから薬は出しておこう」
母さんとオレから、そろって安堵のため息が漏れた。
「汗をかいてたみたいだから、着替えを持ってきたの。風邪ひくといけないでしょ?」
「ああ、ありがとう…って、ピンク?」
父さんの驚いた声に、母さんが、クスリ…と笑う。
「彰人さんの着替えじゃないわよ~、花美ちゃんの」
そう言いながら、母さんが花美のベッド脇に着替えを置くのを見て、
今度は父さんが、安心したようにため息をついた。
“花美ちゃんが目を覚ましたら、着替えさせるから”
そう母さんが言うと、オレと父さんは反論するまもなく部屋を追い出された。
直後、今度はオレが父さんに連行される。
まあ、何を言われるかは大体予想がついている。
「大体の事情は成久くんから聞いてるよ」
書斎の椅子に脱いだ白衣をかけながら、父さんがオレを見てニヤリと笑った。
「ま、大丈夫だろ」
それまで花美の様子を見ていた父さんは、そう一言いうと、ベッドサイドの椅子に腰を掛ける。
マジかよ。
全然、大丈夫そうじゃねぇじゃん。
ベッドに横になってる花美はピクリとも動かない。
肌は白いどころか、皮下の静脈を透かして青白い。
まあ、医者の父さんが言うんだから間違いないんだろうけど。
「…伊都」
「……」
「伊都っ!」
「…あ、ああ?なんだよ」
「月乃(つきの)さん呼んでおいで」
「…母さん?なんで」
「いいから」
いい年して、うちの両親は名前で呼び合う。
「彰都(あきと)さん」
呼びに行くまでもなく、母さんが部屋に入ってきた。
母さんも、まだ顔色が悪い。
花美が倒れこんだときの、母さんの動揺はハンパなかった。
「よく眠ってるだけだから心配ないよ。まあ、軽い貧血もあるみたいだから薬は出しておこう」
母さんとオレから、そろって安堵のため息が漏れた。
「汗をかいてたみたいだから、着替えを持ってきたの。風邪ひくといけないでしょ?」
「ああ、ありがとう…って、ピンク?」
父さんの驚いた声に、母さんが、クスリ…と笑う。
「彰人さんの着替えじゃないわよ~、花美ちゃんの」
そう言いながら、母さんが花美のベッド脇に着替えを置くのを見て、
今度は父さんが、安心したようにため息をついた。
“花美ちゃんが目を覚ましたら、着替えさせるから”
そう母さんが言うと、オレと父さんは反論するまもなく部屋を追い出された。
直後、今度はオレが父さんに連行される。
まあ、何を言われるかは大体予想がついている。
「大体の事情は成久くんから聞いてるよ」
書斎の椅子に脱いだ白衣をかけながら、父さんがオレを見てニヤリと笑った。

