なんで、佐々くんのお母さんが私を引き止めるの!?
わけわかんない。
…っと、その時、
ひゅゥ…
いきなり喉が不自然に鳴った。
――あ、まずい……
体中の力が抜けていくのがわかる。
あっという間に、目の前が真っ暗になった。
「…っ!花美っ!!」
暗闇の中、まぶたに焼き付いて離れない光景が映画のように浮かび上がる。
“あれ?ママ、なんで泣いてるの?”
まだ、子どもの私はパパに聞く。
“あれ?パパは?”
辺りを見渡すと、足元の畳に血が数滴ポタポタと落ちてる。
キレイに整えられた和室。
障子の隙間から見える、手の行き届いた和風の庭。
遠くで、大人の人たちの大声が聞こえてる。
ママの悲しそうな顔が、さっきのお母サマと重なる。
「花美っ!!」
意識を手放す瞬間、誰かに抱きしめられた気がした。
力強い腕が、かすかに震えてる。
少し苦しいけど……
でも、伝わってくる体温が心地よくて、
安心できて、
スウ……
自然と空気が肺を満たした。
甘い、でも少しスパイス―なコロンのにおい……
――なんて名前のコロンなんだろ……
聞こうと思ってて、ずっとタイミング逃してたんだぁ…
この香りスキ……
大スキ……
佐々くんの…
におい。
わけわかんない。
…っと、その時、
ひゅゥ…
いきなり喉が不自然に鳴った。
――あ、まずい……
体中の力が抜けていくのがわかる。
あっという間に、目の前が真っ暗になった。
「…っ!花美っ!!」
暗闇の中、まぶたに焼き付いて離れない光景が映画のように浮かび上がる。
“あれ?ママ、なんで泣いてるの?”
まだ、子どもの私はパパに聞く。
“あれ?パパは?”
辺りを見渡すと、足元の畳に血が数滴ポタポタと落ちてる。
キレイに整えられた和室。
障子の隙間から見える、手の行き届いた和風の庭。
遠くで、大人の人たちの大声が聞こえてる。
ママの悲しそうな顔が、さっきのお母サマと重なる。
「花美っ!!」
意識を手放す瞬間、誰かに抱きしめられた気がした。
力強い腕が、かすかに震えてる。
少し苦しいけど……
でも、伝わってくる体温が心地よくて、
安心できて、
スウ……
自然と空気が肺を満たした。
甘い、でも少しスパイス―なコロンのにおい……
――なんて名前のコロンなんだろ……
聞こうと思ってて、ずっとタイミング逃してたんだぁ…
この香りスキ……
大スキ……
佐々くんの…
におい。

