佐々くんのお母サマの登場で、意識の外に追いやられてたけど、
いつの間にか、カラダが全然いうことを聞かない。
それでも、倒れてしまわないように、足を踏ん張った。
変えるべき道を見据える。
早く、ここから出て行かなくちゃ。
やっぱり、こういう家は苦手。
息がつまって、空気がうまく吸えない。
『ハッ…ハ…ッ、ハッ…』
――あれ?
なんだろう。
なぜか、耳の奥で、自分の呼吸する音が聞こえる。
走った直後のみたい、荒くて、酷く苦しげな音。
夏の夕暮れ特有の生暖かい空気が、体に張り付く感じが、やけに気になる。
動かないカラダ。
消え始めたセミの声。
――まるで、あの日みたい……
そう思ったけど、
――あの日?…
あの日ってなに?
あの日が思い出せない。
目の前が、どんどん薄暗くなっていく。
思い出さないように……
グイッ!!
突然、勢いよく右手が引かれた。
その衝撃で、一瞬だけ意識が回復する。
捕まれた右手が熱い。
力も強くて、痛いくらい。
だから、この場から勝手に逃げようとしたことを、“怒ってるんだろうな…”って思った。
怖いなぁ…
って、そう思うのに、
なのになんで、振り向かずにはいられないんだろう。
「待てってっ!!」
思ったとおり。
眉間にしわを数本寄せて、射抜くように私を見てる……
「…ささ…くん」
…と、
――え?
「お…お母サマぁ?」
…が、私の手をしっかりと握り締めていた。
――な…なんでぇ……?
いつの間にか、カラダが全然いうことを聞かない。
それでも、倒れてしまわないように、足を踏ん張った。
変えるべき道を見据える。
早く、ここから出て行かなくちゃ。
やっぱり、こういう家は苦手。
息がつまって、空気がうまく吸えない。
『ハッ…ハ…ッ、ハッ…』
――あれ?
なんだろう。
なぜか、耳の奥で、自分の呼吸する音が聞こえる。
走った直後のみたい、荒くて、酷く苦しげな音。
夏の夕暮れ特有の生暖かい空気が、体に張り付く感じが、やけに気になる。
動かないカラダ。
消え始めたセミの声。
――まるで、あの日みたい……
そう思ったけど、
――あの日?…
あの日ってなに?
あの日が思い出せない。
目の前が、どんどん薄暗くなっていく。
思い出さないように……
グイッ!!
突然、勢いよく右手が引かれた。
その衝撃で、一瞬だけ意識が回復する。
捕まれた右手が熱い。
力も強くて、痛いくらい。
だから、この場から勝手に逃げようとしたことを、“怒ってるんだろうな…”って思った。
怖いなぁ…
って、そう思うのに、
なのになんで、振り向かずにはいられないんだろう。
「待てってっ!!」
思ったとおり。
眉間にしわを数本寄せて、射抜くように私を見てる……
「…ささ…くん」
…と、
――え?
「お…お母サマぁ?」
…が、私の手をしっかりと握り締めていた。
――な…なんでぇ……?

