オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

<side 花美>

「痛っ…!」


腕をつかまれ、乱暴にベッドに押し付けられた。

佐々くんに視線が固定されたまま、動かない。

怖いのに…、目が離れてくれない。


すらりと伸びた筋肉質の腕。

広い肩。

首元を緩めた制服のシャツから、胸板が覗いてて……

見た目は細いわりに、全然そんなことなくって、


たくましくって……


わたしは違う、オトコの人のカラダに、今さらながらに驚く。

それなのに、オンナの人より色っぽいの。


伏せ目がちに、私を見下ろす瞳はきれいな薄茶色で、

長い睫毛は、彫りの深い顔に影を落としてる。


ドクっ……!


目が合った。

ふいに、その冷たいまでの瞳の奥に、

何か得体のしれない感情を押し込めてる……

そんな気がした。


――怖い……


近づく距離。

サラサラ揺れる、少し長めの前髪。

薄い唇……が、

そぉっと、わたしの首筋を……


――噛んだ。


「ひゃ…、ぁあっ!」


噛まれたところが熱い。

私は、ぎゅぅっと目を閉じる。

心の中で、何度も何度も呪文を叫ぶ。


怖くなんかない。

怖くなんかない。

好きな人に、嫌われるほうが、もっと怖い。


――こんなコトくらい、平気!


佐々くんの唇が、ゆっくりと首筋を伝いながら私の耳を侵す。

佐々くんの息遣いに、私の口からも吐息が漏れる。


「…んっ……ぁ」


夏の制服の上から、大きな手で胸を触られて……



ビクンッ!!



体が痙攣した。

まるで自分の体じゃぁ、ないみたい。


一気に顔が紅潮する。


「あ……、は、ぁあ…」


呼吸が上がる。

上手く呼吸ができない。


縋るように見つめた薄いブルーの天井に、カーテンからもれた光がゆらゆらしてて、

まるでプールの底から、水面を見ているみたい。


――溺れちゃう…


そう、思った。


――ダメ…やっぱりま、待って……


言いたいのに、うまく声が出ない。

カラダが動かない。

襟元から進入した佐々くんの手が、

私の胸に触れ……た。


「あっ…っはぁ…ア…」


――もう…無理……!