オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

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<side 花美>

車から降りえると、外はいつの間にか濃紺の空に染め替えられていた。

日が沈んだとはいえ、周囲はまだ明るいし、かなり暑い。

佐々くんは、走り去る黒塗りの車を睨み付けながら、


「『石田』、絶ってぇ、許さねぇっ」


なんだか、キレてた。


「チラ見でも許せねえのに、ガン見だっ!ガン見しやがったっ!!」

「……」


私から言わせてもらえばですね、半分以上は佐々くんのせいだと思うんだ。

運転手さん不可抗力でしょ。

さっきまで、あんなに“オトコ”だったのに、ムキになって怒ってる佐々くんはホント子供みたい。


キュウッ……


あ…まただ、胸が切なくなる。

こんなことくらいで、あっけなく感情がうねる。

あからさまにハードルが下がってる。

私は思いっきり頭を振り、自分にしっかり言い聞かせる。

違う。

こんなのは気のせいだ。

カラダのドキドキに、キモチもつられて勘違いしているだけだよ。

ほら、え~と、心理学とかでよく言うでしょ“吊り橋効果”ってやつ。

それなのに、佐々くんってば、


「あのやろぉ…声もきいてたよな………」


ボソリとつぶやくもんだから、気を失いそうになった。


アレを聞かれた!?

あの、自分で聞いても恥ずかしいアレを!!

アノ声を!?


ガクンッ……!!

地面にひざを着き、へたり込む。


かああぁぁぁあ……

顔が熱い。


他の人にあんなトコロ見られるなんて……

やだぁ…もぉ……

恥ずかしくて、死んじゃうぅ……