「…なぁにやってんだよ…、大丈夫か?……ほら」
手をさし伸ばすけど、
キィッ!!
にらまれちまった。
「…あの……さ、」
「……(きぃ!)」
声をかけても、花美はさらに怖い顔。
……の、つもりなんだろう。
目を細めて、眉間のしわをぐっと寄せて、口を固く結ぶ。
オレをにらむ。
――…てか、にらんでんのか?コレ…
かわいそうなくらい、全然迫力ないけど……
逆に、もう一度、襲いたくなるぐらいカワイイんだけど……
絶対に自分に触るなと言わんばかりに、花美は後部シートの間に挟まったまま、
隅っこでギュッ…っと、身を固くする。
体育座りだな…
ヤバい、めちゃくちゃ笑える…
「…お~い」
「……」
「悪かったって…な?」
「……」
なに言っても、返事をしねぇ。
オレが笑いながら言うのが余計気に入らないみたいだ。
追い詰められた子猫が、毛を逆立てて、
フウーーーーッ!!
って、威嚇してるみてぇ。
全然カワイイな。
ダメじゃん、花美。
…っていうか、もうなにしても許せる。
恋って、すげえぇ~~っ。

