オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)

<side 佐々>


「ウソじゃねえよ、バカ」


でも、正直失敗したと思った。

こんなドサクサ紛れに言ったって、信じるもんか。

オレなら、まず信じない。

なのに、我慢できずに告っちまった。

大体、黙ってるって性格でもねぇし、花美も悪い。


不意打ちのキス。

頬に軽く触れただけだったけど、

少し、唇が振るえてて……

潤んだ瞳。

真っ赤な顔。

“花美からして?”

なんて言ったけど、正直まるで期待なんかしちゃいなかったからな。


――マジ、うれしい……


大体、オレはめちゃくちゃ怒ってたんだよ。

花美!お前にだぞ!

あんな奴らにベタベタ触られやがって……

ああ、クソ!

花美が怖がるからやめたけど、全員ぶん殴っとけばよかった!!

お前は、もう少し、危機感を持てっ!

しかも、

“佐々くんには関係ないでしょ?”

…って、なんなんだよ、勘弁してくれ…。

マジで落ち込む。

なのに、そんなの、あのキスで、一瞬で吹き飛んじまった。

オトコってつくづく単純だ。


「うそつきぃぃいい~~~っ!!!!」

「うわっ!?」


急にカラダが押し戻された。

ぐいぃいい~~っ!!

…っと、花美が両手でオレの顔を押しのけてる。

力いっぱい、必死の抵抗。

口を金魚みたくパクパクさせながら、


「ナシ!いまのぜぇ~んぶ、ナシだから!!」


そういって、見るからに動きそうもないカラダを、無理やり起こす。

「あっ…!花…」


ドサッ……


予想通りシートからずり落ちて、花美が座席シートの狭い足元に挟まった。