沈黙を守るように、私の手の真下のシートが、音も立てずに沈んだ。
ほんの、少しだけ、私の鼻先の空気が熱を帯びる。
――甘い…匂い…
佐々くんの、いつものコロンの匂い…
ふわふわする…
――うん…そう。
ふわふわと、蝶々が花にとまるみたい。
唇に…、
ふと私のじゃない、体温か伝わってきた……
あったかくて…
なんか……
なんか……
「「……え…?」」
声が重なった。
同時に、目の前の、近すぎてよく見えない視界が、すこしづつ晴れていく。
佐々くんが、驚いた顔で私を見てる。
――佐々…くん……?
どしたの?
そんなに驚いて……
――わたし……
佐々くんの頬に……薄いピンクのリップ。
――わたし…?
キス…のあと。
――いま……
――なにした?
キス……
……した……?
しちゃったぁっ!!
佐々くんのほっぺにっ!!
「……っ!!!!」
「きゃぁぁあああ~~~っ!!!!」

