私は、うまく力が入らないカラダを何とか動して、シートからゆっくり起き上がると、佐々くんに向き合った。
でも、佐々くんは、フイ…と窓の外を見る。
「…な…んでぇ?」
こっち見てくれないの?
怒ってるの?
連絡もなしに学校まで来たから?
勝手に危ない目に合って、佐々くんに助けられて……
迷惑かけちゃったから?
狭い車内。
離れたといっても、佐々くんは相変わらず目の前にいるのに、それでもこんなに遠く感じる。
泣きたくなる。
さみしくて、半歩、近づくけど…
「こっち来んな…!」
怒られてしまった。
これ以上ない明確な拒絶に、過去の記憶がよみがえる。
ああ、またやっちゃったなぁ…って、
佐々くんも、みんなと同じように、私から離れていっちゃうのかな…
――また、ひとりかぁ……
って、想像したところで、今までとは違う孤独が、どっ…と、押し寄せてきた。
その感覚に、意識を全部持って行かれそうになる。
その時だった。
「……どおせ、オレは……ねえよっ」
「……?」
その怒気を含んだというよりは、悔しげな声に、私は現実に引き戻される。
「……え?」
驚いて佐々くんのほうを見直すと、腕を組み、
さっきよりも、もっとドアに体を押し付けるようにして、佐々くんが窓の外を見てる。
「どおせ、オレは関係ねぇよ…」
「……え?」
「……別に、花美の彼氏とかじゃ、ねぇし…」
「…違っ…、そおいう意味じゃ…」
「…別に…、花美がどおなろうが…知った事じゃ、ねぇ」
眉をひそめ、口を歪ませながら、
――まるで…
「…もう…、いい」
「…佐々…く、ん?」
「花美なんか、もぉ知らね……」
「……」
硬く目を閉じて、さらに眉間にしわを寄せる。
“絶対に見るもんか”とばかりに、顔を…向こう側に反らせる……。
――まるで……
「…また、オトコにヤラレそうになったって……絶対に、助けてなんか……やんねぇ……」
――まるで、子どもがすねてるみたい……

