オオカミ回路 ♥️ うさぎスイッチ(処体験ガール再編集)


私は、うまく力が入らないカラダを何とか動して、シートからゆっくり起き上がると、佐々くんに向き合った。

でも、佐々くんは、フイ…と窓の外を見る。


「…な…んでぇ?」


こっち見てくれないの?

怒ってるの?

連絡もなしに学校まで来たから?

勝手に危ない目に合って、佐々くんに助けられて……

迷惑かけちゃったから?

狭い車内。

離れたといっても、佐々くんは相変わらず目の前にいるのに、それでもこんなに遠く感じる。

泣きたくなる。

さみしくて、半歩、近づくけど…


「こっち来んな…!」


怒られてしまった。

これ以上ない明確な拒絶に、過去の記憶がよみがえる。

ああ、またやっちゃったなぁ…って、

佐々くんも、みんなと同じように、私から離れていっちゃうのかな…


――また、ひとりかぁ……


って、想像したところで、今までとは違う孤独が、どっ…と、押し寄せてきた。

その感覚に、意識を全部持って行かれそうになる。

その時だった。


「……どおせ、オレは……ねえよっ」

「……?」


その怒気を含んだというよりは、悔しげな声に、私は現実に引き戻される。


「……え?」


驚いて佐々くんのほうを見直すと、腕を組み、

さっきよりも、もっとドアに体を押し付けるようにして、佐々くんが窓の外を見てる。


「どおせ、オレは関係ねぇよ…」

「……え?」

「……別に、花美の彼氏とかじゃ、ねぇし…」

「…違っ…、そおいう意味じゃ…」

「…別に…、花美がどおなろうが…知った事じゃ、ねぇ」


眉をひそめ、口を歪ませながら、

――まるで…


「…もう…、いい」

「…佐々…く、ん?」

「花美なんか、もぉ知らね……」

「……」


硬く目を閉じて、さらに眉間にしわを寄せる。

“絶対に見るもんか”とばかりに、顔を…向こう側に反らせる……。


――まるで……



「…また、オトコにヤラレそうになったって……絶対に、助けてなんか……やんねぇ……」



――まるで、子どもがすねてるみたい……