<side佐々>


「…クソっ…、なんなんだよ…」


このオンナっ!!


咄嗟に逸らした視線を戻す。

ベッドに組み敷かれた、花美をもう一度見下ろす。


「……」

「……?…なぁに?」


あ~…、ダメだ、こいつ。


――超カワイイ……


腰まである長い薄茶の髪が、シーツの上に羽根みたいに広がっている。

肌は陶器のように、透き通るほど白くて、

頬は薄い薔薇色に染まり、唇は赤くふっくらと艶めいている。

二重の大きな瞳。

その瞳を縁取る、顔に影を落とすほどの長い睫毛。

胸は……

けっこうあるな、D……?

ベッドに横になっていても、その膨らみを失わない。

そのくせ、肩や腰は驚くほど細くて華奢だ。


抱きしめたら折れるんじゃねえの?


身長は160か、もうちょい高め。

そんなに高くないのに、バランスがいいから映える。

まあ、なんていうか……


――すげぇ……


オトコの欲望を、


『コレでもかっ!』


…っと、掻き集めて形にした、そんなオンナだ。


そんなのが目の前にいるってだけでも、かなり衝撃的なのに、オレの名前を呼ぶとか、

不意打ちだろ……

しばらく見とれていたら、花美の唇が何かをねだるように開いた。


「……エッチ、するんじゃなかったの?」


かわいい声で、言ってる内容はゲスだ。

さっきまで感じていた、なんだか不思議で暖かい感情が、急激に冷めていく。