「咲ちゃん、そんなに焦ることないよ? 咲ちゃんとりんじゃ、キャリアが全然違うじゃん この差があってもりんが負けていたら、りんの立場ないよ?」と姫花

「そうだけど・・・」と咲

「確かに、私のメインは女優で、モデルは本業じゃないけど、それでも私の方が場数踏んでるんだからさ・・ この時期に咲ちゃんに抜かれるくらいなら、私この仕事向いてないってことでしょ?」とりん

「そんなこと!! それに、姫ちゃんだって・・・」と咲

「咲ちゃん? 確かに、競うことも必要・・ でも、この仕事って、結局判断するのは、作品をみる視聴者やファンの人たちなの それは、売上数っていう数字になってわかることなんだけど・・・・」とりんは姫花を見た

「でも、その数字が全てじゃないって思いたい・・ 私は、今日の撮影、楽しかったよ?」と姫花は咲を見た

「確かに、周りには大勢のスタッフがいて、シャッター音が途切れることはなかったけど、マーケットをブラブラ歩いている時なんか、そんなの忘れちゃってたもん!」と姫花は笑った

「私も、楽しかった・・・」と咲

「今日はそれでいいじゃん」とりん

「咲ちゃんは、マジメなとこが長所でもあり、短所でもあるんだね~」と姫花

姫花の言いたいことが理解できない咲

「・・物事に対して、真面目に取り組むのはいいことだけど、たまには肩の力も抜いてね!」とりん

咲は、素直にふたりの言葉に頷いた

その時、スタッフが騒いでいたテーブルから歓声があがった・・

何事かと三人がテーブルへ視線を移すと、スタッフは全員ドアの方を見て、キャーキャー言ったり、手を叩いたり、とにかく大騒ぎなのだ