「最初はさ、戸惑ったよ・・ なんか見捨てるようでさ・・ でもさ・・あいつ言ったんだよ・・」

「他の女を想っているあなたの側にいるのは、想像以上に辛いの・・・ もう無理なの・・・・」

「その言葉で、離婚を決意したよ・・ 俺が半端な責任感で一緒にいたから精神的にきつかったんじゃないかな・・ 」

潤也は当時を振り返ってそう締めくくった

「そうだったんだ・・・」

潤也の話にりんは言葉を漏らし、姫花は口を閉じた

「俺は何をしていたんだろうな・・・ 自分の子どもが生まれたのも知らず、居もしなかった子どもの事を考えていたよ・・」

潤也はそういうと姫花の元へ歩いていった

「あっ! レンはわたしと一緒に遊ぼっか?」

その様子をみていたりんは、レンの元へ歩いて行き、レンの手をとった

「え~ 俺が遊んでやるんだかんな!」

そういいながらもレンは嬉しそうに、りんに手を引かれ、リビングを後にした

「・・・・・・」

「・・・・・・」

ふたりはしばらく無言で見つめあう

「・・・父親にね、似てるのよ・・ 強引な性格とか・・ 筋の通った鼻とか・・・」

と言いながら姫花は潤也の鼻を指でなぞる

「・・・目元は姫花にそっくりだな・・」

潤也はそういいながら、姫花の頬に手を添え、親指で目尻に触れる

「レンの父親になってもいいか?」

潤也はまっすぐに姫花を見つめる

「世界中、どこを探しても、レンの父親は潤也よ?」

姫花は顔色ひとつ変えず、淡々と答える

「「・・・・・・」」

「・・・姫花の・・ 姫花の旦那になってもいいか?」

「・・・・レンの父親だから側にいたい?」

「・・・・姫花だから、側にいたい」