その場を無言で去った潤也は、しばらくするとふたりの前に戻ってきた

手にはアイスを持って・・

「ほれ・・・」

「・・・・・」

「食え・・・」

「食えって・・ もっと言い方ってもんがあるでしょ?」

とりんは潤也の言い方にあきれながらも、少年の方をみる

りんと目のあった少年は、戸惑った表情をするもりんが笑顔を見せたので、潤也に視線を移し、笑顔で頷くと両手でアイスを受け取った

りんと潤也はしばらく、アイスに夢中になる少年を見ていたが、少年が食べ終わるのを見て立ち上がった

「坊主、家まで送ってってやるよ?」

「ちょっと、潤也? いくらなんでもそれはマズいって・・」

見ず知らずの子どもをつれまわすなんて、どうとらえられてもおかしくない

しかし、少年は笑顔で頷き、潤也の後を嬉しそうについていくじゃないか

「・・・・」

りんはそんなふたりの後姿に首をかしげながらも、再び助手席に腰を下ろした

少年は分かれ道にくると指で方向を指し示す方法で潤也に道順を教えた

それでも、小さな子どもが歩いてこれる距離なのだから、彼の家に着くのに、時間はかからなかった

家に着くと、少年は潤也の腕をひっぱり、降りるようにせがむ

「坊主、いいって・・ 俺らも忙しいんだ・・な?」

諭すように話す潤也

「ごめんね・・ そうだ、君、名前は?」

とりん

「おい、りん・・ こいつに日本語・・「レン!!」」

潤也が言い切る前に自分の名前を名乗った少年