「んだよ? 便所か? 」

「煩いわね! 水よ!! 水買いたいの!!」

りんは、車を降り、ローカルな店内へ入っていく

潤也は、りんの姿が店内に消えたのを確認し、何気なく周囲を見渡す

観光地から少し離れただけで、一気に人口は減り、地元の人しか見当たらない

りんが入った店先には、アロハシャツが数枚掲げられ、果物が並べられている

そこへ走ってきた小さな少年

真っ黒に日焼けした顔は、なにやら嬉しそうだ

店に入った少年は、すぐに外へと出てきた

満面の笑みを浮かべ、手にはアイスクリームを持って・・・

いい顔すんな~ と潤也は思わず笑みをこぼした・・

次の瞬間、ドテッ!!!

右手にスプーン、左手にアイス、両目と意識ももちろんアイスだった少年は思いっきり転んでしまった

「・・・ったく・・・」

見てしまったものを無視は出来ない

潤也は、転んで泣き出した少年の元へ行き、彼を抱き起こした

「大丈夫か?」

「おい! どっか痛くねぇのか?」

泣きながらも少年は潤也の言葉に首を振って答える

そこへ、おおきな水を抱えたりんが店内から顔を出した

「ったく~ 何やってんのよ? 僕、大丈夫? 怖いお兄さんに泣かされちゃった?」

りんは、少年に声を掛けながら、土ぼこりのついたシャツを払っていく