「遅かったね・・・」

エレべーターから降りてきた潤也に視線を向けることのないアリ

「ヒメは?」

そんなアリに潤也の声は驚くほど低い

「そんな恐い声だすなよ・・ ヒメなら、そこにいるよ・・・」

アリは、奥のソファに横になっている姫花を顎で示す

「・・・・・・」

そんな姫花をチラッとみた潤也はそのままアリの前のカウンターに腰を下ろした

「どういうつもり?」

先ほどとは打って変わって、アリの視線をとらえて離さない潤也

「ハハッ・・ どういう意味?」

そんな潤也にアリは乾いた笑いしか起きない

「なんで、オフの日に姫花をふたりであんなとこにいた? 下に部屋でも押さえてたのか?」

姫花が酔いつぶれていたのは、偶然か、必然か・・ 潤也とジュディが滞在しているホテルにあるBarだったのだ

「部屋ねぇ・・・ お前と一緒にすんなや・・・」

オフであるアリは潤也に対して、客とバーテンというしがらみはない

「・・・・・・」

「俺はさ、日向くんとヒメが付き合ったって聞いたときマジビビったよ・・ ジフンに捨てられて、ボロボロだったけど、段々笑うようになって、きっと潤也か賢次がそうさせているんだと思ったよ だから、急に現れた日向くんが信用ならなかった・・ 
実際会ってみると、日向くんてすげ~いいヤツでさ、なんか納得した
それは、潤也も賢次も一緒だったろ? だから、側で、見守っていたんだろ? でも、日向くんは逝っちまった・・ 人形みたいになったヒメを動かしたのは潤也だってがっくんが言ってたよ・・」

アリのその言葉に、黙って聞いていた潤也が顔を上げた