“心のままに動いてみろ・・・”

ガクの言葉は姫花の心に重くのしかかっていた

「何? まだ悩み中?」

カウンターに座り、一向に減らないグラスを見つめる姫花に声を掛けたアリ

「え? 」

アリの登場に驚きを隠せない姫花

そう、ここはAQUAではない

「そんなに驚くこと? 今日は定休日だろ?」

アリはそう言って、姫花の隣に腰を下ろした

そう、AQUAが定休日だったが、家にまっすぐ帰る気分にもなれず、姫花はフラッと立ち寄ったBARのカウンターにいたのだ

「あれ? もしかして誰かと待ち合わせとか?」

とアリは一旦座ったものの、腰を浮かす

「・・んなわけないでしょ? どうぞ・・・」

姫花はアリをチラッとみて、またすぐに視線を落とした

「なに飲んでるの?」

「見ればわかるでしょ? マルゲリータよ・・・」

「へぇ・・ めずらしいもん飲んでるね?」

「・・・・・・」

「まぁ、ヒメのレッドアイの味はうちでしか出せない味だしな・・・」

「・・・・・・」

「ショートグラスなんて、酔いたいわけ?」

一般的に、カクテルはショートグラスのものはアルコール度数が高めなのだ

「・・・・・そんな事より、自分は誰かと待ち合わせなんじゃないの?」

「まぁね! 夜のデートなんて、定休日オンリーだからね~」