正直、姫花は戸惑っていた

自分の気持ちに気がつかないほど子どもでもない

ただ、少し経験を積んでしまったから、頭でソレを認めたくないのだ

本能と理性

本音と建前

今の姫花には後者のほうが強く自分を支配していた

それと同時に日向に対する罪悪感もあった

日向の死を受け入れ、他の誰かと肩を寄せ合うのは、日向に対する裏切りじゃないのか・・

1年やそこらで、他の誰かに好意を寄せるなんて不謹慎なんじゃないのか・・

そして、姫花の心を占めている一番大きなモノは

別れの恐怖だった

いつか、自分の元を離れていってしまうのでないか・・

もし、日向と同じようにその存在を失ってしまったら、もう二度と立ち直れないような・・そんな気がしてならなかったのだ


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数日もすると、ゴシップ記事の内容は、一般スポーツ紙の紙面を賑わすようになり、必然とテレビのワイドショーでもウワサされるようになっていった

こうなると、次々と潤也とその女性のツーショット写真や映像が流れ、最初は交際を噂されていただけなのに、今では婚約者・・ 結婚秒読みとまで言われていた

それでも、姫花は淡々と仕事をこなし、たまにAQUAに顔を出したり、キャサリンのスパに通ったりと過ごしていたのだ

そんな時、潤也のお相手と噂される金髪の女性“ジュディ”が自身がデザインを手がけたバックと靴のPRで来日することになったのだった