ガクと龍馬は姫花を見つけることが出来なかった
姫花を見かけた周辺の店に問い合わせたが、店員はそろって口を閉じていた

顧客情報を簡単には教えない

富裕層の上客ともなれば尚更だ

姫花の情報が龍馬の元に入らないのは、もう一つ理由があった。

あの日以来姫花は外に出る事が滅多になかったのだ

一日のほとんどを屋敷の温室で過ごす姫花
ジフンがそれを強制しているわけではなく、逆に心配になるほどだった

卒業式の後、日向とお別れした姫花だが、心にはまだ日向がいた

日向の死を現実だと受け入れた姫花だが、頭と心は違う

そう簡単なモノではないのだ

ジフンはありとあらゆる事をした

一流ファッションを買い与え、ミシュランの星付きシェフを呼び、姫花の目の前で調理をさせた

その度に姫花は笑顔をみせた

KとJはジフンがなぜここまでジフンが必死になるのかわからなかった

姫花は温室で穏やかに過ごしているし、その生活に満足しているように見えたからだ

だが、ジフンはわかっていた

一度は心を通わせたふたりだから…

ジフンは、付き合っていた頃に自分に向けられていた笑顔を求めていたのだ