それから姫花はひとりで登校し、無事卒業の単位をとり、卒業式を迎える事が出来た

龍馬と賢次が転校して行った為、姫花、りん、咲、大吾、潤也の5人での卒業だ

潤也も、この日の為に帰国してきた

入学式と同じ講堂で行われた式典

3年前、姫花と咲は、1階に座っていたのだ

2階席から潤也が姫花に口パクをしたとか、しないとか・・ついこの間の事のようだ

5人は横一列に並んで座っていた

卒業証書の授与はない

生徒ひとり、ひとりの名前が理事長によって、呼ばれるだけで、返事もない故、席は自由に座れたのだった

式典の後、恒例のプロムがあったが、悲しいことに誰も出席しなかった

姫花以外の4人は、全員仕事が入っていたのだ

姫花自身も、行きたい場所があったため、プロムには参加しないつもりだった

学校を後にし、一旦家に戻ってきた姫花は、着替え、車のキーを持った

日本に戻ってきて、暇な時間を作りたくなかった姫花は、補修の合間に教習所に通い、異例の速さで免許を取得していたのだ

注意力散漫な姫花の運転という行為に恐怖を感じたガクは、免許取得に猛反対をしたが、一度言い出したら聞かない性格の姫花に最後には譲歩し、車の車種はガクが決めるという事になった

そのガクが用意したのが、ベンツの四駆だった

多少ぶつけても車体より、周りが傷がつくほどがっちりしたモノで、りんは“装甲車”と呼んでるほど・・・

自分の腰より高い座席に乗った姫花は、装甲車のエンジンをかけ、出発した

思い出のあの場所へ・・・