潤也はそっと立ち上がり、ツリーの下から離れた

しばらくして、姫花の元に戻ってきた潤也は、姫花を抱き上げ、歩き出した

潤也はそのままバスルームに姫花を連れて行き、そっと降ろした

そして、姫花が抱きしめているガクからのプレゼントを開け、浴槽に浮かべ、オイルを数滴垂らした

そして、服を着たままの姫花をその浴槽に入れ、自分はそのままバスルームを後にした

浴槽に浮かんでいる、花の形のままのバラとあの日の香りに姫花は涙が止まらなかった

バラは姫花と日向にとって特別なものだった

アミに裏切られ、入院していた姫花に毎日届いた日向からのバラの花束

バレンタインは、教室の机の上にバラの花束、自宅はバラに埋もれるほどだった

日向は何かというとバラをプレゼントしてくれたっけ・・

日向の一番好きな花だった

本物にこだわって、いつもブルガリア産だったな~

止まっていた姫花の時計の針が、再び動き出した瞬間だった

浴槽の外に服を脱ぎ捨て、姫花は潤也の用意してくれた時間を堪能した

それから、姫花は、自らの意思で着替え、髪を結い、潤也の待つリビングへ入っていった

姫花の姿をみた潤也は驚きのあまり、持っていたグラスを落としてしまった

「・・・何やってんのよ・・本当・・」

と姫花は潤也の足元に砕け散ったグラスの破片を拾っていく

「・・姫花? 」

潤也は、姫花と同じようにひざまずき、姫花に視線を合わせた

「潤也、ありがとうね・・」

姫花は潤也の視線から逃れるように俯いた