「姫花は元気ですか?」

ジャンは視線をガクにうつした

「最近はやけに仕事を張りきっていて怖いくらいですよ」

「そうですか・・ 僕の事なんて覚えてないんでしょうね」

「・・そうですね あいつにとってはただの店員でしかないですからね」

「ハハハッ はっきりいってくれますね ただの店員相手に、ちょっとやりすぎじゃないですか?」

笑っていたジャンの表情は一気に真剣になった

「・・・・俺にとって、ただの店員には見えなかったんですよ」

ガクの表情も固くなる

「・・・・・」

「もしかして、バレてないとでも思いましたか?」

ガクは、ジャンの前にコトンっと何かの部品のようなものを出した

「・・・ッ!!」

「いやぁ 本当うまく仕込んでありましたね あの小さな時計の中にGPSと盗聴器ですか? 売り物にこういう細工するなんて思いっきり犯罪ですよね?」

ガクがジャンの前に置いたのは、姫花たちが特注で作った時計の中に仕込まれていたものだった

「ハハハッ バレてましたか!? 流石ですね」

「本当の所、コレを見つけたのは偶然です 別件で盗聴器を疑うことがありまして、その際偶然に見つけたんです」

そう、妄想記事の際、盗聴器などをつけられていないか調べたのだが、その時に偶然見つけたのだ
最初は相手側の出版社を疑ったのだが、どう考えてもこの時計に仕掛けるのは無理だという事になり、盗聴器とGPSを調べたところ、バンコク製と判明したのだった