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「ん……あ、れ?」


目の前に広がる白い天井と、サイドにはピンクのカーテン。

ここって…保健室?


かすかに残る温もり。

私は記憶を頼りに何があったか思い出そうとする。

でも腹部に重みを感じ、目線を下げる。


「功っ?」

私の手を握り、
横でスヤスヤと眠っている功。

どうして…?

私が動いたのに気づいたのか、功はそっと顔を上げる。


「梨乃っ。良かった。急に倒れるからびっくりしたよ。」


「あ。私倒れたんだ。
ちょっと待って!今何時?」


「3時だよ。後30分でトリのダンスだよ。
でも梨乃はダメ。休んでなきゃ。」


4時間も寝てたの?私…


私の肩を押して、もう一度寝かそうとする功…

「え〜そんな……やだ!私踊るもん、」


「はあ?自分の体調分かってるの?」


「ただの貧血だよ。大丈夫!」


「…梨乃の大丈夫が信用ならないな…
うーん。分かった。
でもギリギリまで休んでてよ?
それにもしもの事があるから、僕から離れないでね?」



離れないでね…何それ、嬉しい!
絶対離れない!



「うん!!功っありがとう!」



「え?何が?」


「きっと功のことだから、
ずっと一緒にいてくれたんでしょ?」



「ああ、まあ。」



「ほらやっぱり。ありがとう、こ…」



その言葉を遮るように、突然功が私を抱きしめる。


え?


動揺で私の体はかなり硬直。

そして、

「梨乃のばーか。
どんだけ心配たかと思ってんの?

でも、…可愛いから許す…。」


そう耳元で囁く。



「えっ?今可愛いって言った?」


「うん。さ、衣装に着替えないとそろそろ間に合わないよ。」


功はそう濁し、私を置いてさっさと歩いていく。


「あ、ちょっ、待ってよ。」


それが功の照れ隠しだというのは、功だけしか知らない。