部活も終わり、功は色んな選手とタッチを交わす。


功は今やバスケ部のエースで、先輩らしくなった。
部長は西田くん。

功と西田くんのコンビは神々しいほど、
学校でも話題なんだ。


私と早苗のマネージャーが上手だって、
学校でも話題になるんだもん!

きっと……多分、いつか私たちも……



やっぱり功は……遠い。



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「じゃ、またな功。」

西田くんが功に手を振る。


「ああ。またな。
じゃ、梨乃帰ろっか。」



「……うん。」



「ん……?なんか元気なくない?」



「そ、そんな事ないもん!功のバカ!」


そう言って私は先に体育館を出る。


「バカじゃないんだけどなぁ…」


「んーん!功はバカだよ。
菜乃花ちゃんに鼻の下伸ばしちゃってさ。」


本当……無自覚、ド天然、超能天気。
私はこの人にどんだけ振り回されれば良いんだろう。




「菜乃花?なんでそうなるの?」

ほらやっぱり、自覚なしだ。


「だって……
功、あの子と仲よさそうに話してたもん。
菜乃花ちゃん可愛いし……。」




「はあ、そう言う事?
で、また不安になったと?」


功は呆れてそう言う。本当になんとも思ってないの?


「…まあ、そうなりますね。」



「梨乃…おいで。」


功は両手を広げ優しい声で私を呼ぶ。


「やだ!もう知らない!」

私はその場でそっぽを向く。
功に、少しでも反省してもらわないと。


「ほら、梨乃?」



「やだって…不安になるんだからね?」



「おいで、ここに。」



「……っわ、分かった…。」


そっと…そっと功を抱きしめる。


やっぱりあったかくて、私をすっぽりと覆ってしまう大きな体は、私を優しく包み込む。



「ごめんね、心配かけて。」


「うん。私、心配した。」


「梨乃…好きだよ。」


「私も…好き。」


「僕は梨乃しか見てないよ?」


「わっ、私も功しか見てないもん!」


少し意地を張って功にそう言う。

すると功はククッと笑って、
私の頭をそっと撫でた。


「可愛い可愛い、僕の彼女さん。」


愛しそうに、私を見て。

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