「鶴谷くん、ありがとう」

「ふん、礼を言うまでのことじゃねぇよ」

「鶴谷くんらしい」

私は一歩踏み出した。
今なら、進める。

「鶴谷くん、なんで私なんかを救ってくれようとしてくれるの?」

「失いたくない、ただそれだけだ」

その言葉だけが、突っかかった。
なにか、尺にさわる。鶴谷くんはなにかを私に隠している。

「そっか」

「どうだ?久々の公園は……」

「いつ以来だろ。小学六年生の春、一緒に花見に来たのが最後かも」

「え、まじか」

「うん」

あの時は、まだ私はこんなんになってなかったな。なんで、こんなになっちゃったんだろう。

「俺はこの前も来たな。まぁタイマン張るのにいい場所だったからな」

「そうなんだ」

「あぁ。天宮、きかせてくれよ、最後の花見に来た時の思い出」

「……いいよ。あの時は、まだお母さんも今のように忙しくなかった。お父さんもいた」

「そうなんだ」