「安心しろ。チクッたりはしない」 そう言って彼は、猫を抱き上げて、私に差し出してきたのが、頭を下げていてもわかった。 よかった。怒っていない。 そう思って顔を上げたら、目の前には金剛力士像。 や、やっぱ怒ってる!? 私は猫を引ったくるようにして、急いでブルペン……いや、地獄から逃げ出した。