こんなこと、他人に聞いたって、「知らねえよ(笑)」という反応が普通だと思う。
でも、下村くん、優しいから、
「そうだねえ……うーん……」
と一緒になって考えてくれる。一緒になって悩んでくれる。
「ねえ、山田さん、まだ時間あるかな?」
「生憎だけど、今となっては1分1秒でも惜しい……」
「そ、そうかもしれないけど、ほんのちょっとでいいから、山田さんのその貴重な時間を僕に預けてくれないかな?」
「ま、まあ、そこまで言うなら……」
下村くんの後をついていく。その足取りは重い。
まるでそれは、両足に5キロの重りをつけて歩いているかのように……。



